

五十肩は「肩関節周囲炎」の俗称で、主に40~60代に多く見られる、肩の痛みと可動域制限を特徴とする症状です。
名前の通り「五十歳前後に多い」ためそう呼ばれますが、実際には30代や70代でも発症することがあります。
肩関節は、人体の中でも特に広い可動域を持つ関節です。しかし、他の関節と比べると関節窩が浅く作られているため、その不足を補うように周囲の筋肉や靱帯が支えています。
この構造上、肩関節は姿勢不良などの影響を受けやすく、可動域が制限されたり、不安定になりやすい傾向があります。
さらに、肩関節は単独で動くわけではなく、肩甲骨、鎖骨、胸郭など、複数の部位が連動して働くことで、初めて腕を挙げるなどの動作が可能になります。
そのため、運動不足や姿勢不良などで、いずれかひとつでも関節が硬くなると、肩関節にかかる負担が大きくなります。
こうした状態で、洗濯物を干す、シートベルトを締めるといった日常生活の何気ない動作を繰り返すと、肩関節周辺に炎症が起こり、五十肩へと進行してしまうケースが多く見られます。
その結果、「いつの間にか肩が痛くなっていた」という患者さんも少なくありません。

当院では、五十肩の炎症期・拘縮期(痛みはやや軽減するものの、肩関節の動きが悪い時期)・回復期それぞれの段階に応じて、治療内容を変えていきます。
まずは患者様の生活習慣や、どのようなときに痛みが出るのかを丁寧にお伺いし、状態を確認します。
不良姿勢などで張力が低下した筋肉に対しては、「鍼」や「マッサージ」で筋膜の癒着やよれを整え、滑走性を高めます。これにより、関節と筋肉の動きを改善し、痛みを取り除いていきます。
さらに、肩関節や肩甲骨を安定させ、肩をスムーズに動かせるようにするため、身体の安定感を高める運動を習得していただきます。
この運動は、ピラティスインストラクターの資格を持つ院長が直接指導し、再発予防もサポートします。